意外と知らない!?汚れを落とすメカニズム~界面活性剤とは~
カテゴリ:掃除, 洗濯毎日使う洗浄剤。なぜ洗浄剤が必要なのか、どうやって汚れを落としているのか、みなさんご存知ですか? 「界面活性剤」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、言葉の意味はご存知ですか? 意外と知らない洗浄剤の基本をご紹介します。
界面活性剤とは
「界面活性剤」という言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。肌によくない、というイメージを持っている方も多いかもしれません。まずは「界面活性剤」の意味を理解しましょう。水溶性の汚れは水洗いでもある程度落とすことはできますが、油汚れは水をはじくので水洗いだけでは落ちません。そこで、水と油をなじませて汚れを落とす「界面活性剤」が必要となります。「界面活性剤」とは、水と油の両方になじむ性質を持ち、通常は混ざらない水と油の境界面をなじませ、混ぜ合わせる働きがあります。この「界面活性剤」は洗浄剤の主成分で、「石けん」と「合成界面活性剤(合成洗剤)」の2種類に分けることができます。
また、本来混ざり合わない水と油を混ぜ合わせる特徴から、洗浄以外にも乳化剤として保湿クリームや乳液などのスキンケア用品に使われたり、アイスクリームやドレッシングなどの食品を作る際に使われたりしています。その他にも、医薬品や農薬、繊維工業、製紙工業、土木、建築など様々な分野・用途で使われています。
界面活性剤の働き
界面活性剤の主な作用として、「起泡作用」「浸透・湿潤作用」「乳化作用」「分散作用」「再汚染防止作用」などがあります。汚れを落とすには、複数の作用が働いて取り除いています。それぞれの作用をご紹介します。
起泡作用
界面活性剤を溶かした水は泡が立ちやすくなります。これは水の中に気泡を取り込んで、壊れないように安定化させるためです。
浸透・湿潤作用
表面張力と界面張力を下げて、モノを濡らしやすく、浸み込みやすくします。例えば、ウールなどの繊維を水の中に入れても水をはじいてしまいます。そこに界面活性剤を入れると、表面張力が下がり、水だけでは浸み込めないところまで水を浸透させることができます。
乳化作用
本来は混ざり合わない液体(水と油など)を混ぜ合わせます。皮脂などの油汚れを水に散らばせて、混じり合った状態に保つことができます。
分散作用
固体粒子をばらばらにして、水中に分散した状態に保ちます。例えば、ススを水に入れても水に混ざらず水面に浮いてしまいます。そこに界面活性剤を入れると、界面活性剤の分子に取り囲まれて水中に分散します。
再汚染防止作用
いったん剥がしとった汚れが再び付着しないようにします。洗濯物に汚れが再付着しないのはこの作用のおかげです。
汚れが落ちるメカニズム
界面活性剤は、水になじむ部分(親水基)と油になじむ部分(親油基)があり、水と油を混ぜ合わせる仲介役として働きます。「親油基」は油汚れに吸着し、油汚れを浮かせ、汚れを水中に分散させることで汚れ(=油)を剥がします。生地にも界面活性剤が付着しているので、汚れが再付着しません。石けんも合成界面活性剤も同じメカニズムで汚れを落としています。