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【専門家コラム】今、日本・世界でのマクロビオティックは?

カテゴリ:キッチン, 健康, 家族・子育て, 美容,

『マクロビオテック』と聞くと、どんなイメージを持ちますか?「食生活がガラリと変わってしまいそう」「食材選びが難しそう…」など、興味があってもなかなか取り入れられないという方も多いかもしれません。そこで、マクロビオテックの基本的な考え方や取り入れ方を、正食協会の山口徹平さんに教えていただきました。

戦前までの日本の食生活こそがマクロビオティック

マクロビオティックは海外から入ってきた食生活・健康法と思われている方たちが多いのですが、実は日本から世界に広がり、ミュージシャンや映画俳優、セレブの人たちが取り入れたことで話題になり、日本に逆輸入されて一気に広がりました。マクロビオティックを創始したのは桜沢如一氏ですが、その背景には日本の伝統食を見直そうという「食養生」の流れがありました。直接つながる出発点となったのは明治時代の軍医、石塚左玄です。文明開化の波は食生活にもおよび、「日本人の食生活が洋風化すると多くの者が病気になる」と警鐘を鳴らしました。ちなみに一般的になった「食育」という言葉を初めて使ったのも左玄です。食事を指導することで患者さんを治す左玄は「食医」と呼ばれました。  ご飯と旬の食材、伝統的製法で作られた調味料(塩・醤油・味噌・酢)や漬物などの発酵食品を摂る食生活は、日本に住む私たちの体質にぴったり合っていたわけです。

身土不二・一物全体・主食は穀物・旬・よく噛む、感謝の心

マクロビオティックは理屈っぽく聞こえるところがあるかもしれませんが、極めてシンプル。その考え方の一つは「身土不二」。その土地でとれる旬の食物を食べるということは、その土地と季節に合った体をつくるということになります。今は一年中売られているものも多く季節感がなくなっていますから、食物の旬をちゃんと知りたいですね。そして「一物全体」。英語ではホールフードWhole Foodともいいます。農薬の問題などがありますが、食物は皮をむかずできるだけ丸ごと食べるのが体にいいという考えです。アメリカではすでに1977年に出された「食事の改善目標」(マクガバンレポート)で「野菜、穀物、果物はなるべく未精白のものをとるように」と指導しています。「この世にいらないものは一つもない」という、東洋の基本的な考え方があって、それを食生活に適応したのが「一物全体」です。そして、心を込めて作られた料理を、ゆっくり噛んでいただくことが大切。早食いは大食いにつながります。作っていただいた方の想いを味わいながら「いただきます」「ごちそうさまでした」と感謝の気持ちを言葉にしたいものですね。

持続可能な社会のために

食材はできるだけ農薬や化学肥料を使用していない農産物が理想です。その有機農業や自然農法も安心・安全な食べ物を作ることと同時に、田んぼや畑の環境を守ることにつながっています。農薬を使わないことで、様々な小動物が生息できるようになります。その小動物を目当てに鳥たちも集まってきます。そんな賑やかで美しく気持ちのよい土地に、子どもや大人たちも遊びにくることでしょう。そして、自然が与えてくれる恵みに感謝する気持ちも出てくるはずです。大きな自然の中で生かされている人間。人間も自然の一部であることに気づくことができれば、自分の健康について考えを深めていくと地域やもっと大きな環境についても関心が高くなってくるように思います。自然の摂理に沿った生活法。マクロビオテックは敷居の高い修行のような窮屈なものではなく、毎日の身近な食卓から広い視野で物事を観るエコなライフスタイルといえると思っています。

文:山口徹平さん

1955年生まれ。オーガニック&ナチュラル、マクロビオティック食品を扱う自然食品のパイオニア企業、ムソー株式会社に長く勤務して、健康と環境と次世代に配慮する商品や市場の広がりを見続ける。ムソーの産みの親的位置にある60年続くマクロビオティック団体、正食協会に転籍し活動を続けている。

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