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【専門家コラム】『化学物質過敏症』で苦しんでいる妻を助けたくて

カテゴリ:健康, 家族・子育て, 洗濯,

「化学物質過敏症」。。。あなたはこの病名を、聞いたことがありますか? 化学物質過敏症は、私たちが毎日触れている化学物質(洗剤、排気ガスなど)に触れ続けた結果、体内の許容量を超えると発症する病気です。今まで全く異常がなかったのに、ある時に突然発症する花粉症。化学物質過敏症もこれと同じようにあなたが突然、発症者するかもしれない身近な病気なのです。発症すると、めまい、うつ状態、動悸など様々な症状がでてきます重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けない…など、通常の生活さえ営めなくなる極めて深刻な“環境病”です。

 今回は、実際に奥様が化学物質過敏症になり、その闘病生活をつづった漫画「かびんのつま」を書かれた、あきやまひできさんからお話しをいただきました。

化学物質過敏症のはじまり

 結婚後しばらくして、まず光過敏症から始まりました。二人ともわけがわからないままに、目の前の症状をどうしたら押さえられるか、手探り状態です。最初は原因すらわからず、たまたまテレビで化学物質過敏症の特集を見て、これかもしれない、と気がつきました。いろいろ調べてよかれと思ってやったことが裏目に出ることもありましたし、どこにも答えがない、でも苦しむ妻をどうにかしたくて必死の毎日を繰り返し今に至っています。

 子どもの頃、排気ガスを吸い続けて育ち、実は影響を受けていたことが、引っ越して道路わきのマンションの1階に転居し、再びその環境にさらされたことが引き金で発症したようです。個人差が激しいので、他の人がよかったことがいいとは限らず、結局住環境を変えるため、兵庫県の中山間地にある僕の実家に緊急避難的に転居したことと、歯の治療で入れていた金属を取ったことから、今は少し改善しているようです。

どんなものが原因物質として考えられるのですか? 

 光に加え、電磁波、農薬、食品添加物、塩素、石油製品、その他の化学物質だけでなく、ゴムアレルギーもあるので、天然ゴムに分子構造が似ているバナナやアボガドなどにも反応します。食べるものも着るものも生活用品も限られ、スーパーの刺身は、天然ものであっても調理する包丁やまな板が塩素消毒されているので食べられません。高性能毒物センサーみたいですよ。普通の人は何ともないものでも、はっきり症状がでるものとでないものがあるので。

 家の中に化学物質をまとった人が入ってくると反応するので、我が家ではまずアシスタントさんに、シャボン玉石けんの洗濯石けん『シャボン玉スノール』を僕が買って渡して、「これで洗った服を着てきてください」とお願いします。スノールに出会うまで、無添加と表示されていてもそうでないものもあって大変でしたが(笑)。 

『かびんのつま』で伝えたいことはどんなことですか? 

たとえば、実家の親世代は、洗剤にもいいものと悪いものがあるということがわからなかったりします。信じられないかもしれないけど、実際に反応するものとしないものがはっきりあり、携帯の電磁波にいたっては、かかってくる直前に急増するため、妻は超能力みたいにいい当てます。でも、この地区で携帯電話の基地局に反対する運動がおきて実際に阻止することができました。一人ひとりが少しずつでも理解してくれて、環境や健康にいいものを選ぶことにつながってくれたら、そして症状が出る人だけが対策をするのではなく、ヨーロッパみたいな予防原則で、危ないものは禁止する、という世の中に少しでも近づいてほしいと思っています。

【取材協力:あきやまひできさん】イラストレーターから漫画アクションで新人賞を受賞し「おさなづま」で漫画家デビュー。主な作品は「昆虫鑑識官ファーブル」「あんこう」など。現在、東京から兵庫県の山間部に移住し化学物質過敏症の妻の食べられる無農薬野菜を作りながら漫画「かびんつま」を執筆。新聞や雑誌などで話題になっている。

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